アルバム「ワゴンセール」発売に際してコメントをいただきました!

 

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Vianka 1st.mini album ワゴンセール

発売おめでとうございます。

 

数年前に僕らが初めて北海道にツアーに行ったときに彼らと出会いました。

まだ誰も北海道に知り合いが居ない僕らに優しくしてくれました。

個人的にボーカルの森田君とは、沢山お酒も飲みました。山岡家も食べました。語り合いました。

 

Viankaの少し懐かしいような、暖かいサウンドと、クールで繊細、時にエモーショナルな声。そして、彼らの優しい人柄がしっかり詰まった作品だと思います。

M-1、M-3が僕は特にお気に入りです。

この作品がより多くの人に届くことを祈ってます。

 

渡邊幸一 (グッドモーニングアメリカ)

 

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Viankaアルバム発売おめでとうございます!!

「ワゴンセール」を聴かせてもったけど、森田の歌詞の世界観、「愛の詩」のスギモンのギターの綺麗なフレーズ、トーマスくんらしいドラム、流石だな!vianka!

このアルバムがより沢山の人達の耳に届きますように! アルバム出すのもいいけど、とりあえずお酒飲みに行きましょうw

 

ユタニシンヤ (phatmans after school)

 

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Vianka森田から音源が届いた。彼らの初の全国流通版らしい。名刺がわりとなる彼ららしい作品のような気がした。そして森田の声を聴いてなんか「うん、こいつってこうだよな。」って思った。紛れもない彼らのリアルが鳴っている。Viankaの今後がより楽しみになった。

 

上杉 研太 (SUPER BEAVER)

 

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一度決めたことを、後になってやっぱり変えるというのは、覚悟と勇気がいるものです。

かつて「死ぬことにした」ビアンカが、「死だけではない」Viankaになって、生も死も理想も生活も愛憎も全部抱えていくのだという意思を感じた気がして、嬉しくなりました。嬉しいのと同時に、ちょっと羨ましいです。また一緒に酒を飲みましょう。

 

コヤマヒデカズ (Lyu:Lyu)

 

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普段の森田君は人懐っこいところがあるし、酒の席では夜が明けるまで音楽の話をずっとしてる。ボーカルとして、ソングライターとして、リーダーとして、バンドのこと、メンバーのこと、彼の夢のこと、作品のことを、たぶん四六時中考えてる。ステージ上での自分はどうありたいか、どう映りたいか、ちゃんとイメージできてる人だと思う。僕は、Viankaの描くネガティブな世界観が好きだな。彼らの未来は明るいはずだけど、きっと、その時はその時でまた、新たな暗がりを探して音を紡いでいくんだろうから。

 

飯濱壮士 (ame full orchestra)

 

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「ワゴンセール」

 

 

閉店まではあと1時間半を少し過ぎたところ。

近所のレンタルビデオショップでは流行を少しだけ過ぎたJ-POPをBGMに店内が無気力な気だるさに包まれていた。

繁盛しているとは決して言い難い。

 

最後に来たのはいつだっただろうか。

そんなことを考えながらアレコレと物色するが、あいにくお目当ての準新作のハリウッド映画もお気に入りの旧作邦画も貸出中で目ぼしいものはない。

そのうち棚に聞き覚えのあるタイトルの恋愛映画があるのを見つけた。

どこでそれを聞いたのだったか記憶を辿ると一月前に別れた彼女がその映画を見てみたいと言っていたのを思い出した。

何の気なしに手に取り裏表紙を眺めてみると、その映画の中身の甘ったるさが容易に想像でき苦笑いが漏れた。

 

思い返すといつもそうだった。

優しさだとか甘っちょろい言葉を下手くそに使い、怒り、泣く彼女がいた。

いつもそれに「確かなカタチ」がない優しさや愛情が「ない」なんて、とんだ絵空事じゃないか。

人それぞれの優しさや愛情があり、それには100人いれば100通りの優しさがあり、それは君のエゴであり、ワガママだと言って諭した僕がいた。

価値観の相違と言ってしまえばそれまでで、馬鹿馬鹿しい痴話喧嘩と言ってしまえばそれまででもあった。

けれども、いつもふとした時に思い出してしまう。

笑ったら細くなる瞳や抱きしめた時に鼻を通る彼女の髪の匂いや大好きだった後姿。

街を歩いていると、そんなものはそこら中に転がっていて、目を奪われるたびにそれが求めているものではなく、ただの類似品に過ぎないことを思い知る。

多分、こんな自分の感情でさえ誰でも感じられるような大量生産品のようなつまらないものなのだろうと思い、たまらなくなった。

 

彼は、そっと指でタイトルを撫でてから棚にそれを戻す。

 

今日はそういう日なのだ。

適当にコンビニで雑誌と弁当、発泡酒でも買ってさっさと寝てしまおう。

そう思い、彼が店を出ようとしたところ出口の近くにレンタル落ちのDVDが山積みされているのが目についた。

日に焼けたパッケージが乱雑に並んでおり、何年も前に放映されていた深夜アニメやマイナーなB級の邦画などジャンルも様々である。

その中に、以前見たことがある映画があるのを見つけた。

件の一月も前に別れた彼女と付き合いたての時に借りてきて見た恋愛映画。

たしか、さして取り柄もないヒロインがその心の綺麗さをきっかけに、優しく容姿も端麗な男と出会い最後には彼と幸せに暮らすというとりたてて面白みもヤマ場もオチもない映画だったはずだ。

見終わった後に

「つまらない映画だったね。」

と、言いかけて彼女がとても感動し泣いており、慌てて言葉を引っ込めたこともなぜか鮮明に覚えている。

ワンコイン出せば、お釣りが来る値段も背中を押し、気づけば彼はその映画を持ってレジへ向かっていた。

会計を済ませ、ラブロマンスを買った自分に若干の気恥ずかしさを覚えつつ、店の外へ出ようとすると、入れ替わりに店へ入ってくるカップルとすれ違った。

振り返って見ると、とても幸せそうなその後ろ姿が昔の自分と彼女によく似ていた。

「センチメンタルなのかね…」

すっかり最近癖になった苦笑いを作ってから彼は店を出た。

息が少し白い色を夜の空気の黒につけられる様な冬の終わり。

春にはまだ少しだけ、ほんの少しだけ遠かった。

 

 

そこで、映画が終わった。

相変わらず面白みも、ヤマ場も、オチも下手をするとストーリーに意味すらもない他の人が観ると退屈で冗長に感じる映画だ。

けど、なぜかいつも観てしまう。

劇中の彼は、この後何を考えて生き、何を失くし、何を求めてこの先を生きていくのだろうか。

安っぽい自己投影の先に、答えなどあるはずもなくいつもこの映画のエンドロールを気だるさと共に観ていた。

僕の横で自分の髪を手ぐしで彼女が整える。

彼女はどう感じたんだろうか。

彼女に僕は聞いた。

「どうだった?この映画」

「つまんない。けど、君が勧めた映画の中では一番面白かったよ」

「それは、どうもありがとう」

「どういたしまして」

 
 
著者:森田大智